3Dスキャナーを活用したリバースエンジニアリング
リバースエンジニアリングとは、既存製品や試作品などの現物を3D CADデータにする手法のことです。
試作段階での解析、図面がない製品の3Dデータ化、CAD上での再設計、競合製品の解析による自社製品の品質向上など、様々な場面で活用されます。
対象物をノギスで計測する方法もありますが、
●計測に時間がかかる
●対象物と3Dデータの誤差が大きくなる
●計測者により寸法にバラつきが生じる
などの問題があります。
これらの問題を解消するため、3Dスキャナーを活用してリバースエンジニアリングを行う方法が主流です。
3Dスキャナーとは
3Dスキャナーとは、現物の3D情報を取得してデジタルデータに変換することができる装置のことです。近年、製造・建築・医療などの様々な分野で普及が進んでおり、その活用方法は多岐にわたります。
3Dスキャナーの種類と特徴
3Dスキャナーは「接触式」「非接触式」の2種類に分けられ、それぞれに特徴やメリット/デメリットがあります。
接触式3Dスキャナー
接触式は古くから存在する方式で、文字通りセンサーや探針(プローブ)を対象物に接触させ、その座標を取得して3Dデータに変換します。
正確な座標を取得できるため、非接触式と比較して高い精度のデータを作成することができます。一方で、スキャン作業に長い時間を要することやセンサーや探針が接触できない入り組んだ形状のスキャンができないことがデメリットとして挙げられます。
非接触式3Dスキャナー
非接触式の3Dスキャナーでは、対象物に光を当てた反射による3Dデータ取得を行います。光には「パターン投影法」と「レーザー光切断方式」の2種類があり、スキャナー自体の種類も据え置き型とハンディタイプの2つに分けられます。接触式に比べて精度は多少落ちるものの、対象物と離れた場所からスキャンができるため、接触式ではスキャンが難しい複雑な形状や、触ることのできない美術品などのデータ化を簡単に行うことができます。
スキャンデータ≠CADデータ
3Dスキャナーで取得した3Dデータは「点群データ」と呼ばれる点の集合体です。点群データのままでは解析や再設計などをすることはできないため、一度「メッシュデータ」と呼ばれる多角形(ポリゴン)の集合体に変換します。
メッシュデータ化までは3Dスキャナーの多くに付属する専用ソフトで実行できますが、「CADデータ」が必要な場合はリバースエンジニアリングによって作成します。
3Dデータの種類と特徴
一般的な画像データ「.jpeg」「.png」「.gif」のように、3Dデータにもさまざまな形式が存在します。データ形式により特徴が異なるため、目的に合わせた3Dデータを用意することが必要となります。
点群データ
点群データとは、三次元座標(X,Y,Z)と色情報(R,G,B)から構成される点の集合体です。データの形式は「.txt」「.las」などがあります。
構造物の保守点検、プラントや工場設備の配置検討などに使用されることが多くあります。
メッシュ(ポリゴン)データ
メッシュデータはポリゴンデータとも呼ばれます。点群の点同士を頂点としてつないだ三角形や四角形からなり、カクカクしたような見た目になるのが特徴です。
メッシュデータで表現されるのは表面だけであるため、体積などはゼロのデータとなります。データ形式は「.stl」「.obj」などがあり、VRやAR、3Dプリンターでの出力などに使われます。
CADデータ
CADデータは、メッシュデータを基に専用ソフトを使用したリバースエンジニアリングによって作成されます。メッシュデータと比べて滑らかな面であることが特徴で、データ形式はソフトにより異なるネイティブファイルと、他ソフト間の受け渡しを可能にする中間ファイルがあります。中間ファイルのデータ形式には「.step」「.iges」などがあります。
CADデータにすることで、解析、加工、再設計、図面化などが可能になります。
リバースエンジニアリングの流れ
メッシュ(ポリゴン)データを3D CADデータにするまでの流れを簡単にご紹介します。
電通総研セキュアソリューションでは、お客様の目的に合わせた3Dデータを提供いたします。
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