リバースエンジニアリングとは、製品を分析または解析し、構成要素を明らかにすることで技術情報を得る手法です。
一般的な製造は、設計→解析→試作→評価→生産の工程で行われますが、それとは逆(=リバース)の流れで行われることから「リバースエンジニアリング」と呼ばれています。
リバースエンジニアリングはソフトウェアに対して行われるケースもありますが、ここでは開発された製品に対して行う場合について説明します。
リバースエンジニアリングは、既存製品を測定して図面や3Dデータにすることで実施されます。

自社製品の品質向上を目的に活用されることが多いリバースエンジニアリングですが、うまく利用することで様々なメリットを得ることができます。

新製品を開発するためには膨大なコストと時間がかかりますが、リバースエンジニアリングを活用することで既存技術を応用でき、それらを大幅に短縮することができます。
3D CAD上で製品の再検討や設計変更を行うことも可能になるため、何度も試作品を作りトライ＆エラーする必要もなくなります。

例えば、開発から長い年月が経過している自社製品の設計書や記録が残っていない、当時の担当者がすでに退社しているなどの場合にリバースエンジニアリングを活用することができます。
リバースエンジニアリングでは図面がなくても現物さえあれば製品を再現することができるため、自社製品の改良や新製品の開発に過去のノウハウを活かすことが可能です。

リバースエンジニアリングによって製品を3D CADデータ化することで、強度試験や動作試験を行うことも可能です。設計データとの差異を比較することもできるため、製品の持つ潜在的な問題点を発見することもできます。
また、自社製品を搭載した後の周辺製品をリバースエンジニアリングすることで、クリアランスチェックを行うこともできます。

リバースエンジニアリングでは、製品をノギスで測定して図面化しデータする方法もありますが、近年では3Dスキャナーでスキャンしてデータ化する方法が一般的です。

リバースエンジニアリングのための最初の工程として、3Dスキャナーを使用し対象物のスキャンデータを作成します。ここで作成するスキャンデータは、「点群データ」と呼ばれる点の集合体です。

点群データのままでは3D CAD上で扱うことができないため、データ処理を行う必要があります。
まずは点同士をつないだ「メッシュデータ」に変換します。

作成したメッシュデータをリバースエンジニアリング専用ソフトに読み込みます。
メッシュデータを基に面を生成していき、最終的にソリッドモデルと呼ばれる「CADデータ」にします。

結論から言うと、リバースエンジニアリングの行為そのものは違法ではありません。しかし、情報の扱い方によっては違法行為になってしまう場合があるため注意が必要となります。
市販されている製品を正規のルートで入手し、研究や開発を目的としてリバースエンジニアリングで技術情報を収集することは、特許法や著作権法でも認められています。
ただし、リバースエンジニアリングによって得られた情報をそのまま使用して製造、販売等をすることは法律によって禁止されています。
自社製品をリバースエンジニアリングする場合は法律に関してあまり深く考える必要はないかもしれませんが、他社製品の場合には特に注意が必要です。

弊社のリバースエンジニアリングサービスの流れをご紹介します。

情報の扱い方には注意が必要ですが、リバースエンジニアリングをうまく活用することでコストや時間をかけずに自社製品の品質向上を図ることができます。
リバースエンジニアリングに関するご相談は電通総研セキュアソリューションにお問い合わせください。